2019/04/24(水)雨
丸谷才一
『猫だって夢を見る』
1992年10月第1刷
文春文庫
334ページ

初出誌
オール讀物1988年1月号〜1989年6月号
単行本
1989年10月文藝春秋刊行
『猫だって夢を見る』というタイトル本はぼくの思い違いで出版されていないものと思っていたので先に手元にあった講談社文庫で『犬だって散歩する』を読んでいたのであるそのあと積ん読の山から『猫だって・・・』を見つけて早速読んでみたわけであるこちらを南米密林古書街で見つけポチってついでに『犬だって・・・」も入手していたんだね
例によって古今東西の本を読んでいて知識が豊富で巧みな文章を操り表している丸谷才一さんの随筆というか戯文いわゆるエッセイは登場する人名の多さに困惑させながらもいつも感心させられその上にとても面白い
残念ながらぼくはそれを上手いことまとめることができない
1点だけその文体で印象的だなあと改めて思っことは()が多いという点なにか言い切ったあとにそのことに関して関連することを追加反論する言い回しを多用しているリズム悪くなってくどいよという人もいるかもしれないけど(だから丸谷才一は嫌いだあ!)ぼくはそれがそこでひと休みし考えさせてくれるからとても心地よく気に入っている
瞳さんは「良い小説家は良い読み手」と言っていますこの文庫本の解説者清水義範さんもそうです
によって今回はその解説からの引用
330ページ
「(前略)話題が豊富で、嫌味がなくて、ユーモアがあり、知事が正確で、しかも紳士的で品のある話し相手がいれば飲んでる酒もうまくなり、気持ちよく酔えるではないか。
私にとってはそういう談話の相手が丸谷先生の本だったのである。」
331ページ
「(前略)丸谷先生の場合、ものすごい知識に裏打ちされた文章が、とても上品で、気持ちよく耳に入ってくるのは不思議なほどである。知の楽しみとはこれだなあと、いう気がしてくる。読むことが快感なのである。
それは、先生の人間性からにじみ出ていることであろう、というのはもちろん言うまでもなくその通りなのだが、別の角度から言うと、先生の文体が読者に与える効果なのである。」
333ページ
※先の()についてのぼくの考えは奇しくも清水さんも解説で触れていて敬服していると言っている。ぼくはうれしくなってしまった。
posted by httr at 09:15| 岐阜 🌁|
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